【1】総リード 特集「熱と誠」(9頁)
破傷風菌の純培養に成功した北里柴三郎が、何か悩みがあるらしい後の帝大総長荒木寅三郎に言った言葉ですが、
「人に熱と誠があれば、何事でも達成する。
よく世の中が行き詰まったと言う人があるが、これは大いなる誤解である。
世の中は決して行き詰まらぬ。
もし行き詰まったものがあるなら、それは熱と誠がないからである。
つまり行き詰まりは本人自身で、世の中は決して行き詰まるものではない」
これは、近代医学における欧米諸国と日本の格差は圧倒的なものがある中、この彼我の差を克服すべく、さまざまな困難と闘いながら自ら一道を切り拓いてきた体験が言わせた信念の言葉です。
その言葉で、火のついた荒木氏は、生涯燃え続け、後の京大総長なる平澤興氏に火をつけ、平澤氏の生涯を導きました。
平澤氏は、一日一語の中で、
教育とは火をつけること。教育とは、火をつけ燃やすことだ。教えを受けるとは、燃やされることであり、火をつけられることです。
相手の心に火をつけることは、ただ一方的な命令やおしつけでできるものではなく、こちらも燃えて相手と一つになり、相手の隠れた可能性を見出してこれを燃やすことであると。と言われています。
私たちは一人では行きて行くことはできません。いろんな人の協力が必要になります。
人に協力してもらうのに、力で押さえても動きません。本人が納得しなければ動きません。
納得というのは、理屈ではなく、誠実さ、気持ちを込めることが大事です。
熱と誠。
情熱と誠実さ。そして努力と謙虚さを持って生きて行き、相手の心に火をつけられる人になって行きたいと思いました。
【2】インタビュー1 「愛こそが、私の人生と経営を導いてきた」(38頁)
王 一郎(ラッキーピエロ社長)
全国チェーンが進出しない場所に出店する
あれこれやらずに一つのことに集中する
美味しいも、少し美味しいじゃだめで、めちゃくちゃ美味しいでなきゃだめ
提供する商品に本当に優れた価値がないと、お客様は2回、3回とリピートしてくれない
同じ日は一日もないですし、日々小さな努力を重ねて、進化していかなければならない。
【3】対談 「熱と誠が経営の道を開く」(62頁)
新井 良亮(ルミネ社長)
松井 忠三(良品計画前会長)
・業績が悪いのは、社会経済情勢だけなのかというと、決してそうではありません。市場に対する提案力がない、まあ何とかあんるんじゃないかと言う認識の甘さ、ここに一因があると感じています。
・今起きている現象を調査分析した上で、我々がマーケットの半歩先を行くにはどうしたらいいのか。知恵を出し、付加価値をつけていくにはどうしたらいいのか。そこのところを必死に取り組んで行くことが大事だと思う。
・人を説得していく時は、力で押さえてはどうにもならない、本人が納得しなければだめだと学びました。で、納得というのは、理屈ではないんですね。やっぱり誠実さ、気持ちを込めることが大事だと思います。
・現場の知恵で仕事のやり方が変わり続ける。まさに血が流れるような仕組みを絶えず作り上げることが大事だと思います。
・企業は人なり言いますけど、自ら主体的に考えていく社員を育てるにはどうしたらいいか。社長に就任してからというもの、ずっとそういうことを考え続けてきました。
社長である私が自ら現場に出ていき、思いを語り、社員とコミュニケーションを取る。会議で社長の顔色を窺うのではなく、自分が思ったことをはっきり主張し、真正面から真剣勝負して欲しいと繰り返し伝えて行くことで、徐々に自ら発意する社風が生まれてきました。
・データを集めた書類を読んでいるだけでは、お客様が真に求めているニーズは掴めないと思うんです。やっぱり現場でお客様と対面して、会話をして見なければわからないです。
・俄な商品知識を説明するだけの接客はもはや通用しないんです。
・経営で大切なのは、常に新しいことにチャレンジしていくこと。それには、志と情熱と誠実さが非常に重要だと思います。もともと天才なんかいません。情熱を持って努力に努力を重ねて初めて、天才と言われるんじゃないですか。
・迷ったら遠い道を選べと。楽な道や近道にあまり正解はなくて、やっぱり遠回りしたほうが正解がある。
・素直で、正直で、嘘をつかない。この人間性がちょっとでも欠けていると、リーダーは務まりません。